2010年5月17日 (月)

原点としてのケーベル

ケーベルに原点を見た時に、ケーベル会が生まれた。最初、そのことに気づいたのは沖縄の音楽教師、島尻先生だった。

ケーベルの弟子たちを見た時、そこに先生の原点性を見ることができる。プロテスタントの波多野精一、カトリックの岩下壮一が、そこにいる。

また、ご自身の信仰的転回を見た時にも、それを見ることができるかも知れない。最初はロシア正教会であった。次にローマ・カトリックであった。そして葬儀の時には、「無教会的」であった。これもまた、「原点的」ではないだろうか。二代目会長の鈴木さんは無教会の信徒であった。

ケーベルは独身であったので、当然、子供はいなかった。しかし、弟子たちに恵まれていたと思う。弟子たちは、ある意味で、彼の子供のようなものだったかも知れない。

そして、時を経て、ケーベル会が生まれた。ケーベル会会員も、また、「ケーベルの子」の中に入るのかも知れない。その時を隔てた交わりの中に参入しようとしているものかも知れない。

| | コメント (0)

2010年4月26日 (月)

ケーベルの言葉

近くのブックオフで、三浦綾子さんの『生かされてある日々』(新潮文庫)を買った。その中(80頁)に、ケーベルの言葉があった。

歌人佐藤佐太郎氏の作った短歌で、「うつしみの生命をしみてケーベルの言葉に倚りき戦ひの日に」というもの。

そういえば、ケーベルの言葉には、格言のようなものもあった。

| | コメント (0)

2010年4月19日 (月)

雑誌の登場

『歴史読本』(新人物往来社)で連載中の「お雇い外国人と弟子たち」に、まもなくケーベル先生が登場します。6月の墓参の時までには、一読しておきたいと思います。

| | コメント (0)

2010年1月29日 (金)

ケーベルの謎、再び

私は、以前、『ケーベル会誌』創刊号(1993年12月25日、ケーベル会発行)に、「ケーベル先生改宗日の謎」という題で書いたことがある。その時は、謎であったが、今では、もう謎ではなくなった。

問いは、改宗した日は、ドイツのミュンヘンにおいてであったのか、それとも、日本においてであったのか、というものであった。ミュンヘンであったというのは、ケーベルの弟子の一人である石原謙氏である。彼は、こう言っている。

「初めはその生国の国情からギリシャ正教会に籍を置いていたが、ドイツに学生として留まっていた頃、内的生活の親近さの故にカトリック教会に籍を移し、その豊かな温か味のある神秘的内面性の雰囲気に満ち足りていたらしい」(『石原謙著作集 第11巻 回想・評伝・小論』岩波書店、335頁)

この記述があるため謎が生まれたが、これは間違いであると思う。籍を移したのは、ドイツにいた時ではないからである。

しかし、石原氏の、この記述の根拠は、あるいは、『ケーベル博士随筆集』(岩波書店)ではなかったのだろうか。そこには、「解説」の部分に、このように書かれている。

「ミュンヘンに定住するようになってから、先生の衷に眠っていた昔からのカトリック的嗜好は、再び先生の心のうちによみがえって来た。そうしてついにローマ教会に籍を移すに至ったのであった」(206頁)

この文章を見ていると、「ついに」という言葉がひっかかるのである。「ついに」という言葉の受け止め方では、この記述は間違いではないともいえる。

しかし、現実は、その言葉の前と後に、来日という大きな出来事があった。その出来事が書かれていない時、誰でも、ミュンヘンにおいてであったと思うのではないだろうか。石原氏の断定的な表現の根拠は、あるいは、この本にあるのではないだろうか。この本を読む限りでは、私もそうだけれど、ミュンヘンで改宗したように思っても仕方ないと思う。

しかし、現実は、来日後の改宗なのであった。この随筆集の「解説」の文章は、ケーベルの身近にいた久保勉氏のものであろうと思われるが、なぜ、来日の事実を書かなかったのだろうか。最近は、その方に謎の場所が移るのである。あるいは、来日後の改宗の際、影響を受けたマリア会司祭のエック氏への思い、また、当時の、現実のカトリック教会ではなくて、自らの思いの中にあるカトリック教会との親近性などが考慮されたのだろうか。そして、「ついに」という言葉は、あるいは、ケーベルの意思にあったのであろうか。

| | コメント (0)

2009年6月14日 (日)

命日の墓参

Rimg0269_26月14日は、ケーベル先生の命日です。日曜日と重なったので、誰か先生の墓に先に来ていて、掃除なども既に終わっているかとも思いましたが、その気配は残念ながら、ありませんでした。今日、集まったのは、常連の三人と、その中の一人の知人一人で、合わ せて4人でした。ケーベル、久保勉、ストラッサーの墓の周囲の草を取り、 落ち葉を掃き、花を供えまし た。(写真は上から、ケーベル、久保勉、Rimg0270_6ストラッサーの墓)。




Rimg0271_6
その後、墓地の中を散策しました。新しい発見としては、日本近代の最初 の女医となった荻野吟子さん(1851-1913)の全身像が墓の中に建ってい ました。荻野さんは埼玉県出身のクリスチャンとのことですが、その信仰 の紹介は、余りされていないように思います。当方の不勉強かも知れませんが。

| | コメント (0)

2009年3月29日 (日)

生涯

ケーベルの生涯を簡単に紹介したサイトがあります。

http://uninaturr.net/z-koeber.html

| | コメント (0)

2009年3月25日 (水)

寺田寅彦の思い出

物理学者で、エッセイも書いていた寺田寅彦は、ケーベルに会ったことがあります。その時の記録が紹介されています。

http://www.joqr.co.jp/meister/kunimaru/080714.html

| | コメント (0)

2009年3月 6日 (金)

古典の力

まず想起 時代を超える 新ありて
 その働きは 徐々に浸透

ケーベルは、当時、流行の新カント派にも余り関心はなかったようだ。この哲学を学んでいた桑木厳翼は、そのためケーベルとの距離を感じていたという。

ケーベルは西洋古典を紹介していったが、古典は西洋ばかりではないとも言える。とにかく、古典は、時代を超えて新しいという一面があるように思う。その力を引き出す最初は、やはり想起なのではないだろうか。

| | コメント (0)

2008年6月20日 (金)

「猫ふんじゃった」

未知の方から電話をいただきました。

「猫ふんじゃった」という曲の作曲者は不詳だけれど、ニコライ、もしくは、その兄のアントン・ルビンシュタインが作曲したという説もある。ケーベルが入学したモスクワ音楽院は、ニコライ・ルビンシュタインが設立したもので、ルビンシュタインが作曲したのであれば、当然、この曲も知っていた思う。そこで、ケーベルは、日本での音楽会で、あるいはこの曲も紹介されたのではないだろうか。とすれば、日本で、この曲を最初に紹介したのはケーベルではないのだろうか。

そんな質問でした。残念ながら、当方には答えることができません、ケーベル会の初代会長のS氏に聞くしかないでしょう、との返事をしました。

| | コメント (0)

2008年5月25日 (日)

ケーベルの周辺

「『新人』『新女界』の研究 20世紀初頭キリスト教ジャーナリズム」(同志社大学人文科学研究所編、人文書院、99年3月)からの論文に「『新人』とドイツ宗教哲学-オイケンの場合-」(水谷誠=同志社大学神学部助教授)がある。

その中に「ケーベルと普及福音教会-イエナ人脈」という項目があり、ケーベルが詳しく語られている。いくつかのケーベル情報がある。

そこには「ケーベルは、元々ギリシア正教会に属していた。その後、ミュンヘンでローマ・カトリック教会に出席するようになった」と書かれている。ここには「改宗」とは書かれていないが、それが事実なのだろう。

ケーベルはカトリックに改宗したと言っても、それは「厳しい旧教信者の眼には異端者たらしめ、異端者の眼には又十分に異端者たらぬ者」として「飽くまで自由」な「教会外的」な信仰の持ち主であった。従って、普及福音新教伝道会の人々とも交わることができた。ケーベルは、この伝道会の神学校で教えたこともあったのである。

また、スイスの思想家カール・ヒルティの紹介者としてもケーベルは知られているが、そもそもケーベルにヒルティを紹介したのは、この伝道会の宣教師で、親しかったマックス・クリストリープであった(『ケーベル博士小品集』269頁以下)。このクリストリープについては、和辻哲郎も『思想』第33号・157頁以下で、「ケーベル先生の生涯」の中で触れている。最近、NHKのラジオ深夜便の「こころの時代」で、ヒルティの『幸福論』の紹介があった。今でも、読んで、教えられる本と思う。特に、「神と共に生きる」ことが幸福の頂点であることなど、ウェスレーの言葉を連想させる。

ケーベルの来日に関する情報もある。井上哲次郎は、最初、ヘーゲル研究者として著名なアドルフ・ラッソンに来日を招請したが、彼は高齢を理由に断り、ラッソンの斡旋でハルトマンが働き、ケーベルに白羽の矢が立てられたのだという。(井上哲次郎「ラファエル・フオン・ケーベル氏を追懐す」=『哲学雑誌』第38巻・第438号・680頁以下) 井上とケーベルの間にはハルトマンがいたというのは周知のことだが、直接、井上からハルトマンに話がいったのではなくて、その間ヘーゲル研究者のラッソンがいたということである。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧