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2005年6月10日 (金)

病気の原因

終戦の年の4月、父はフィリピンで戦死した。
父の顔は残された写真で知るだけで、僕の中に父の記憶はない。
   
母は再婚し、二人の弟が生まれた。そのあと、僕は、よく病気をした。

一時は、命にかかわる重病であった。   
血の便が出て、医師が日に2回、往診に来て、なんとか回復した。
   
なぜ、僕は病気になったのだろうか。   
朝食で食べたものが、その原因と言われた。まあ、それで、みんなは納得した。
   
しかし、それが本当の原因なのだろうか。
   
僕には、戦死した父との人間的交流はない。母は再婚し、父でない別の男性に母を奪われた気がして、少し寂しかった。
   
そんな中で、2番目に生まれた弟は、母の愛情を強く要求し、独占しようとした。母は、それに応えて、僕はますます寂しくなった。
   
病気になって、母は何かと僕の方にも気を回すようになった。僕は、本当は、このような母の愛情が欲しかったのかも知れない。そのために、病気になったのかも知れない。
   
僕が病気になったのは、母の愛情が欲しかったため、と言ったら、周囲の家族はみな一笑にふしただろう。私も、恥ずかしくて、そんなことは言えなかった。

「病気の原因は朝食で食べたものなんだよ」ということで、みなは納得している。しかし、本当にそうなんだろうか。

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