« 功名が辻 | トップページ | 米国の夢 »

2006年7月25日 (火)

根なし草

「故郷を失った根なし草でありたい」。1967年に出た『風に吹かれて』の中で、作家・五木寛之さんは、こう書いている。この本は累計460万部のベストセラーになったといわれる。

五木さんの作家活動は長いが、私が五木さんと出会ったのは、NHKラジオ深夜便においてであった。その話に強い印象を受けて、著書を読んでいき、分かりやすく、人生の大切な部分を書いているのに、感銘を受けてきた。

「あいつは根なし草さ」。誰ともなく、私の知り合いが私を批判する言葉として、「根なし草」という言葉を使っている、と聞いた。いい気分ではなかったが、仕方ないと思った。所属を転々と変えてきたからだ。当初、望んだことではないが、終わってみると、そうなっていた。

自分における「根なし草」の根拠を突き止めていけば、それは自分のアイデンティティ論ともなる。そんな日が来るかどうか分からない。しかし、この言葉を思う時、この境涯は五木さんの望みでもあった、ということを思い出そう。

「根なし草」は他人に益を与えることも多くはないが、同時に害を及ぼすこともないだろう。無害という価値が、そこにはある。

|

« 功名が辻 | トップページ | 米国の夢 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104898/11091502

この記事へのトラックバック一覧です: 根なし草:

« 功名が辻 | トップページ | 米国の夢 »