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2007年5月19日 (土)

魅力

 ベルジャーエフは自分が、ドストエフスキーの描いた「ロシアの少年たち」に属していることを老年になって自覚している。彼は少年時代から始まって生涯、あの「のろわれた問題」、形而上学的な、神の問題で悩み、ついにロシアにうち建てられた宗教哲学の創造者の一人になってしまった。

 ベルジャーエフは、精神世界における一個の強力な磁力であり、彼の文章から一度、彼の情熱を知った者は、彼にとことん付いていくのではないだろうか。キェルケゴールは、デンマークにおいて読者をはっきり分けると言われているが、ベルジャーエフもそれと同じように、読者を熱狂と冷淡に分けるようである。

では何故ベルジャーエフは人をかくまで魅了するのだろうか。それは彼独特の熱気を帯びたロシア的美のためである。悲劇が最大の美でありうる、という。彼の美は悲劇を知らない古典主義的・抽象的な美ではなくして、意識の中に非常に深く悲劇が浸透しているがゆえに、人間の復権という点で、強烈にロマン主義的情熱と結び付き、悲劇の彼方にある全き希望を強調するがゆえに、普遍的な美になっていると思う。

 ベルジャーエフは「たんに観察しているだけで美は主体から創造的活動を要求するものである」(神と人間の実存的弁証法)という。ベルジャーエフという非常に創造的な魂、ロシア的・動的な美を前にして、人はもし真理を求める心があれば、呼応して何らかの創造活動に参与しないではいられないであろう。

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