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2011年2月15日 (火)

新刊『信徒 内村鑑三』

書店で、内村鑑三に関する新刊を見つけ、早速、購入しました。『信徒 内村鑑三』(前田英樹著、河出ブックス)です。著者は、「はしがき」で、「私は、キリスト教徒ではまったくないが」といいますが、よく、これまで深く、内村の信仰思想に入り込むことができたものだと感心しています。

内村の生涯を、著者の評論を交えてたどっています。よく知られた物語ではあっても、内村の文章の力を今度も感じています。著者も、その魅力を感じ続けてきたようです。はしがきに「内村鑑三という人は、私にはたまらなく面白く、ずっと心を惹きつけられてきた」と書いていますが、同じような思いの人は多いと思います。

一読し、やはり、再臨論に関心がありました。「第十章 キリスト再臨の地、日本」との項目があり、びっくりしました。内村が、このように明言していただろうか。しかし、著者は、内村の文章を、そのように受け取っています。議論があるかもしれません。

それから、日ユ同祖論に関する言及も、わずかですが、あります。「日本人に「イスラエルの血」が混じっている、という考えを、彼は歴史上の真実としても深く信じていたようである」(41頁)として、「日本の天職」の末尾にある「附録」の、次のような文章を引用しています。

「日本人の内にユダヤ人の血が流れて居るとは早くより学者の唱へた所である」

再臨については、「内村が、キリスト再臨を最も盛んに唱えていた1918年頃、彼はこの再臨が再びユダヤ人たちのなかに起こるものと、漠然とだが考えていたようである」(217頁)とあります。それが、米国の「排日法案」のあと、「キリスト再臨は、何と日本でこそ起こると、彼は考えるようになる」(218頁)と著者はいいます。この根拠に、1924年11月10日発行の『聖書之研究』に掲載された「日本の天職」を挙げています。

そこでは、「詩篇110篇3節」の言葉が取り上げられ、その意味として、「彼れキリストが最後に世を治め給ふ時に、極東日出る国の彼の弟子等が其熱心熱誠を以て彼に仕へまつり、彼の聖旨をして此世に成らしむべし」と解釈し、その「極東日出る国」を日本とみてもいいというのです。

同じ再臨運動を展開した中田重治にも、そんな解釈があったかも知れません。また統一教会の文鮮明氏の著書にも、この個所への言及があったかも知れません。もちろん、文氏が再臨主という立場ではありますが。

それにしても、無教会の未来には一部に悲観論がありますが、内村鑑三論は今も続いていて、こちらは当分なくなる気配はありません。実に不思議な現象が極東の小島に起きていると思わずにおれません。

それは、内村の問題意識が今も多くの人(キリスト者、日本人)の課題であり続けているし、再臨はなお待ち望む出来事であれば、その時まで、内村はこの国のキリスト者たちに覚えられ続けるからだと思います。

それにしても、内村が今、生きていれば、日本に関して何を言うだろうかと思います。特に、原爆の投下について、何かの預言の成就なのか、聞きたい思いがします。

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コメント

本の中では、特に長女ルツ子の描写に感銘を受けました。情報は既に公にされているのでしょうが、ここまで詳しくは知りませんでした。この一点だけでも、読んでよかったと思います。

投稿: | 2011年2月15日 (火) 20時53分

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